お米プロジェクト

自分に正直に生きたら今の暮らしになった ~真の自立とは~『かねやん農園』/大阪府高槻市

「大阪・高槻に、とんでもなく面白い人がいるよ!」
そんな噂を数年前から何度も耳にしながら、まさかその張本人・金山さんのお米のストーリーを書くことになるとは、当時の私は想像もしていませんでした。

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金山さんが暮らすのは、高槻市郊外の山あいにある樫田地区。
ここは、かつての「摂津」「山城」「丹波」の三つの国の境界が交わる特別な場所で、日本では古来より“方位の影響を受けない強運の聖地”として信じられてきました。

樫田地区には出灰不動尊や素戔嗚神社、樫船神社などがあり、金山さんの暮らす山も、そのものが昔修験者が山を歩き修行した、聖なるエネルギーが流れているような場所。
では、なぜ彼は街中を離れ、この山に拠点を構えたのでしょうか。

金山さんのお宅の近くにある素戔嗚神社。トトロの世界に入り込んだような。。。

購入された古民家。ここを見つけた時に、ここだ!と思ったそう。

競争の世界から離れ、“本当の自由”を求めて

幼い頃からスポーツに打ち込み、18歳〜22歳はテニスコーチとして働く。朝の9時〜夜中3時になることもあり、長時間縛られることで常に時間がなかった。それでもテニスが好きだから続けてきたが、それも限界に来て退職。その後は工場勤務のサラリーマンへ転職する。

元々、自立心と、自分で考え行動する力があった金山さんは、人に雇われるのは向いてなかったのじゃないかと、私は想像する。
「自分で考え」「やってみて」「修正する」そして「研究する」。出た結果も、人や環境のせいにせず、自分を高めていく材料にする。そんな人には全て自分で決定して自分の手でハンドリングしているという感覚は、生きていく上で大事だと金山さんの性格を知って納得する。

サラリーマンをやっていた頃には「いつかは自由な時間を持ちたい」と、働かなくても暮らせるようになることを目指して投資に没頭したそう。自分で時間や仕事をハンドリングできないことにモヤモヤしていた。
なんでも凝り性な性格が功を奏して、投資はうまくいき、お金の不安がかなり減り、経済的に自由に近づいた。

しかし、そこで気づいたのは、
「お金で買える豊かさには限界がある」
ということ。「他人の提供するサービス」と「モノ」はお金で買える。だけど心は満たされない・・・。

投資に明け暮れていた時に、お金のこともとことん勉強して、お金による世界の支配構造も分かってしまった。法定通貨の仕組みを知ると、中央集権側に権力が集中する構造になっていて、お金に依存することで自由度が下がることがわかった。

その頃から、
「お金と距離を取るためには?」
「真の自立とは?」
を考えるようになった。

お金に依存することで自分の本来持っている能力を使わないでも生きていけることに、不自然さを感じた。
そして自分の感覚を手がかりに、金山さんは思い切って山へ移住をした。

自分でつくる暮らし。“自給自足”という平和デモ

金山さんがたどり着いたのは、お金をできるだけ使わず、自分で生み出す暮らし。

  • ・自分で設置したソーラーパネルで電気を自給
  • ・太陽熱温水機でお風呂や台所のお湯も自給
  • ・山の薪で暖をとり、薪ストーブの排熱を利用した床暖房も自分で仕組みからつくる
  • ・必要なものはなるべく自分の手で作り、補い合う関係性を周りと築く

便利さに頼るほど、本来の「生きる力」をお金で外注してしまう社会。そんな構造から静かに距離を置く“平和デモ”こそ、彼の生き方です。

太陽光パネルで自宅の電気や、車の充電(電気自動車)もやってしまう。

こちらが太陽熱温水器。太陽の力でお湯を作る。

様々な工夫と、自然からいただくエネルギー(無料)を活用した生活を、嬉しそうに案内しながら説明してくださる。自分の作ったシステムは、きっと誇らしい。

自給自足の暮らしは、子どもの頃のようなワクワクであふれている。自然は私たちに「生きなさい」と、たくさんの食べ物や、生活で使うエネルギーを惜しみなく与えてくれる。そして、自給生活ではお金を介さない代わりに「人とのつながりの豊かさ」が自然に生まれていく。金山さんのSNSには、仲間たちとの楽しそうな日常と、温かいコミュニティがそのまま映し出されています。

お金を使わない方が豊かになれる

金山さんの生き方は、そんな逆説のような真実を体現しています。物質的豊かさを経験したうえで、それを手放し、本質的な自由へ向かって踏み出した人。
私は、彼は“未来の生き方”を先取りしている人だと感じました。

もし今の生き方に迷ったり、行き詰まりを感じているなら——
金山さんに会ってみてほしい。あなたの価値観をふっと軽くしてくれる、そんな出会いになるはずです。

畑は苦手。でもハマったお米づくり。

「嫌なものは嫌。好きなものだけ夢中でやる」
彼はそんな自分の感覚に正直に生きる人だ。

自給生活をされているから畑もやっているのかと思いきや、野菜づくりは奥様の担当。不思議なことに、野菜のお世話は全くハマらなかったという。
なのに稲作だけは別格だった。

気になって私は尋ねた。
「どうしてお米は特別なんですか?」

すると返ってきた答えはこうだ。
「お米は、自分のDNAが喜んでるのが分かるんです。稲刈りの時だけ稲アレルギーの症状が出る時もあったけど、それでも研究して、失敗から学んで、次の計画を立てる。その研究が楽しい!」

と、本当に嬉しそうに話してくださる。エネルギーが乗った話し方から、本当なのだということが分かる。

彼の稲作への向き合い方は、「楽しい!」という本能のままに、感覚に導かれて続けているのでしょう。

そんな金山さんが作るお米は無肥料・無農薬のお米で、今年で5年目。
昨年までは家族が食べる分だけ作っていたが、今年は収穫量が増えたため、余った分を「お裾分け事業」と名付けて販売することにした。

自給自足的な生活をしていると、どうしても人との接点が減ってくる。ならば、お米を渡すことをきっかけに再び“つながり”をつくろう。そうして始まったのがこの取り組みだ。お裾分けを通じた新しい関係、配達先での何気ない会話——
小さな交流が金山さんの日々を豊かにしている。

取材に行かせていただいた時にお昼ご飯を作っていただきました。初めて食べた「いのちの壱」というお米。おかずは畑で取れたお野菜で、豊かさと美味しさで溢れている。

そして来年、また田んぼが増える。使われなくなった地域の田んぼを引き受け、地域の方に喜んでもらえる存在になった。里山の風景を守る、静かなバトンが確かに手渡されていく。

終わりは、新しい始まり

金山さんは、未来をどう見ているのだろう。話を聞く中で印象的だったのは、「資本主義がピークアウトして、新しい価値観に移行する流れが加速するだろう」という言葉だった。

こちらの本に掲載されている金山さんの文章の一部を紹介したい。

「小さくても、自分の手で生活をつくり、誰かと喜びを共有すること。それこそが、これからの豊かさのかたちだと、僕は信じている。資本主義の終焉は、恐るべき終わりではない。それは新たな価値観が芽吹くための土壌になるはずだ。」

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宇宙の法則は「創造→維持→破壊」をくり返す。破壊は終わりではなく、次の創造へ向かうための通過点。
極端に“お金”へ依存してきた金融資本主義が始まって約150年。その仕組みが崩れつつある今、私たちは変化を余儀なくされている。

「平和デモ」としてのお金に依存しない暮らしから生まれた金山さんが作るお米を、是非味わっていただきたい。

ライター/南 かおる

■生産場所/大阪府高槻市樫田
かねやん農園

■品種
・イセヒカリ
・いのちの壱
・ササニシキ

■育苗期間中
・農薬不使用
・種籾温湯殺菌処理
・育苗土は市販の培土を使用

■栽培期間中
・農薬不使用
・化学肥料不使用
・除草剤不使用

■農業用水・収穫
・山のため池の水を利用
・完全天日干し
・籾摺り機の後選別機
・袋詰め前に石抜き機使用
・色彩選別機はかけてませんのでまれに黒っぽいお米や籾付きのお米が残っていることがあります。
何卒ご理解いただきますようお願いいたします。